きまぐれ学問所
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1989/06/01
- メディア: 文庫
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昔、一番熱心に読んでいたのが"「文章読本」を読んで"というエッセー。印象に残る部分を少しだけ抜き出すと、谷崎潤一郎、三島由紀夫、井上ひさし、丸谷才一の文章読本をざっと取り上げての以下の文。
このあたりになって、私はやっと気づくのだ。普通の人は読本の名につられ、勉強のつもりで読み、感心しているのだろうが。
これらの作者、人なみはずれた博識家なのだ。大変な読書家であり、だからこそ他の作家の文を自在に引用できる。つまり、そうでなくて、うまい文章は書けない。こう言ってしまっては、身もふたもないが。
本当に身もふたもない。それと以下の文。例として出している作家に時代を感じるけど、特に問題はないでしょ。
結論。文は人なりとの言葉があるが、正しくは、文は人名なりである。
なんらかの形で有名でなければ、一人称の文は、だれも読んでくれない。開高健、島尾敏雄、ソルジェニーツィンの書いた文だから、読むのである。
どれだけ衝撃的な経験が書かれていても、個人の体験として一人称で書かれたものは、作者が有名でなければ誰も読まないってことかな。かなり皮肉。
しかし、何度も読んでるんだけど、いつ読んでも素晴らしい文章だ。私にとっての理想です。